大人の恋はナチュラルがいい。
「それにしても店長も坂巻くんも初々しいですよね。もしかしてまだやってないんですか?」
まっぴるまに似つかわしくない直球な質問に、持っていたランチプレートを3枚あやうく落としそうになる。危なかった、お気に入りのスカンジナビアモダンのお皿割ってしまうところだった。
「ちょっと理緒ちゃん!い、今昼間だから!お客さんいないけど営業中だから!」
13時半をまわって一斉にランチの客足が引いた事で店内には誰も居なかったけど、それでも今は仕事の時間だ。勤労にふさわしくない不埒な話題は慎むべきではないのか、などと健全を気取ってみても沽券を失った私は彼女に一笑される。
「いいじゃないですか、恥ずかしがるような歳でもあるまいし。それに、まだやってないんなら切実に考えた方がいいんじゃないですか?店長、彼氏5年ぶりでしょ。ボディケアしてます?見た目じゃなくて機能の方も」
「き、機能?」
「長い間セックスしてないと濡れにくくなるそうですよ」
畳み掛ける様に理緒ちゃんがけしかけるアダルトトークは私の脳天に稲妻を落とした。仕事中だとか沽券だとか、そんな単語が木っ端微塵に吹き飛ぶほどに。