大人の恋はナチュラルがいい。
けれども、こんな話いったい太一くんにどうやって切り出そう等と悩んでいた私に、それは強硬手段のようにやってくる。
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「……ん?」
ある日の夜、私はシャワーを浴びに行こうとバスルームへ向かう途中、壁に掛けてあるカレンダーに目を止めて違和感に気付いた。モヤッとした疑問を抱えたままバスルームのドアを開け、頭の中でそれが何か謎解くためにさっき見た数字を反芻する。
……今日は9月7日。……9月?
違和感の正体が分かったとき、私は脱衣所でキャミソールをモゾモゾと脱ぎながら「あっ!」と叫んでしまった。そしてもう1度頭の中で数字を繰り返す。けれど間違いない、と言うより今まで気付かなかった自分に驚く。
「……8月、生理が来なかった……」
わりと正しい周期の私。あまり前後することはここ数年無かったように思う。いつもの計算で行くと生理は8月の20日頃に来るはずだったし、そう言えばその頃はちゃんと準備もしていたのに、気がつくと月のモノは気配を見せないまま予定を遥かに過ぎ去っていた。
体調はいたって健康、風邪ひとつひいていない。特に生理を乱すような薬などの服用もしていないしダイエットもしていない。頭の中で生理が来ない理由をひとつずつあげては消していく作業を、バスルームで身体を洗いながら並行して行う。そして、泡立てたスポンジがなだらかな曲線を描く下腹部に到達すると同時に、1番考えたくない可能性へと辿りついた。
「…………妊娠…………?」
湯気の立ち込めるバスルームにぽつり落ちた呟きは、自分でも意外なくらい震えていた。