神が奪ったモノ
ヴィルトンはかなり大きな町で、他にはない珍しい食べ物や商品があるとして有名だ。
レーベンは昔から、旅ではここに行くと決めていた。
「そうかい。レーベンにし、て、は、偉いじゃないか」
ロリエッタはニヤニヤしながら『しては』の部分を強調した。
「にしてはは、余計だ」
すかさずレーベンが反応する。
「日頃の行いのせいだよ」
手をひらひらとさせてロリエッタはそう言った。
そして、その場に静寂が訪れる。
二人は目を伏せしんと誰も喋らない。
だが、それを破ったのはパンッという手を叩いた音だった。
「なんか、しんみりしちまったね。
まぁ、あたしは手癖の悪いレーベンがいなるから嬉しいけどね」
「はっ、言ってろ。俺がいなかったら料理も作れない癖に」