神が奪ったモノ


大切な時間や楽しい時間は早く過ぎていく。


ロリエッタがレーベンを追いかけたあの日から一週間が経ち、いよいよレーベンの旅立ちの日となった。


昼に差し掛かる少し前、村の出口にはレーベンを見送る為にやって来た村人が沢山いた。


レーベンは動きやすい服装に履きなれた靴、ロリエッタが作った荷袋を背負っていた。


村人たちの先頭にはもちろんロリエッタがいた。

「せいぜい野垂れ死にしいようにするんだね」


ロリエッタはいつもの調子でレーベンを挑発する。


「誰が野垂れ死ぬかよ。金持ちになって帰って来てやらぁ」


「生意気言ってんじゃないよ」


ロリエッタはコツンと軽くレーベンの額をこずいた。そして、


「気を付けるんだよ」


ロリエッタはキツくレーベンを抱き締めた。


「……」


レーベンは最初、戸惑って手をさ迷わせていたがロリエッタの背に手を回し同じように抱き締めた。


「……うん」

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