神が奪ったモノ


ヴィルトンまでは歩いて一週間はかかる。


宿は村にあるにはあるが、高い宿しかない。


レーベンは餞別としてロリエッタから渡された分と、自分が店で働いてもらったお金しか持っていない。


それにレーベンは途中にある村であるものを買うつもりだった。


それは剣だ。


レーベンの住む村には鍛冶師がいなかったため、武器は売っていなかった。


農具などはたまに来る行商人などから買っていた。


ヴィルトンに行って出稼ぎをするなら腕が立つ方がいいだろうと思い、手頃な枝で剣の振るい方を練習していた。


実戦経験はないので自分が強いかどうかはわからないが、腕には自信があった。


村を出てかなりの距離を歩いたところでレーベンの腹の虫が鳴った。


「う~ん、お腹も空いたしこの辺りで昼飯にでもするか」


レーベンは鳴った腹を擦りながら近くの木陰に入る。


ドカッと腰を下ろして荷袋を開ける。



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