神が奪ったモノ
「んー、ならこの辺りの剣かな」
そう言って店の一角を指された。
「鍛えてるって言ってたからあまり軽いとあれだから、この辺りが丁度いいと思うんだよね。
触っていいから自分の好みの剣を探してみな」
そう言って彼女はカウンターに戻っていった。
残されたレーベンはそっと適当な剣に手を伸ばす。
持った瞬間、ズシッと重たさを感じたが持てない程ではなく彼女が言った通り、丁度いい重さだった。
何度か剣を持って色々試してやっとレーベンは決めた。
「これでお願いします」
レーベンが選んだのはシンプルな持ち手に蔦の模様が彫られた剣だった。
これが一番手に持ったときにしっくりくる重さと持ちやすさだったのだ。
「はいよ。ベルトは持ってるかい?」
「いえ」
「ならベルトも買っときな。あった方が腰に挿せて便利だよ。
安くしとくからさ」
「あ、ありがとうございます!」
「締めて五千二百レイルね」
「え……少し高い……」
「何か言った?」
「い、いえ!」
ニコニコ笑顔で脅され、はいとは言えなかった。