神が奪ったモノ
ロリエッタの足は尋常じゃなく早かった。
「ふっ!!?」
レーベンはロリエッタがかなり近付いて来ている事に焦り、目を見開く。
レーベンは速度を上げるが、ロリエッタの方がレーベンより遥かに早かった。
ロリエッタがレーベンに手を伸ばし、襟を掴んだ。
「うっ!」
物凄い勢いで走っていた為、後ろから引っ張られて首が絞まる。
レーベンは呻き声をあげて尻餅を着いた。
「ってぇーー」
「ふんっ!私から逃げ切ろうなんて十年早いわ」
ロリエッタはレーベンを見下ろしながら腕を組む。
「くっそー、またかよ……」
「あ、ちょっと、レーベン。あんた盗んだパンはどうしたのさ?」
レーベンがぼやいていると、ロリエッタはレーベンがパンをくわえていないことに気が付いた。