神が奪ったモノ
ロリエッタとしてはもう少し落ち着いて欲しいものである。
カランコロン
ドアが開き、店に少し腰の曲がったおばあさんが入ってきた。
「いらっしゃい、セシルおばさん」
レーベンは入ってきたおばさんを明るく迎える。
セシルおばさんと呼ばれた彼女は、ラヴェンダの常連でいつも同じパンを買っていく。
「いつものパンね」
「はい、セシルおばさん少し待ってね」
そう言ってレーベンは、彼女が頼むいつものパンを袋に入れる。
「三百五十レイルね」
「はい、ありがとう」
セシルはレーベンの手に三枚の銀貨と一枚の銅貨を渡す。
「また来てくださいね」
レーベンは受け取ったお金を握り、もう片方の手で彼女を見送りながらニコニコとしている。