神が奪ったモノ
受け取ったお金をカウンターの下にある袋に入れる。
だが、ほかのコインを袋に入れ、一枚だけ銀貨を入れずに立ち上がろうとすると
「一枚足りないよ」
そう、パンを焼いている筈のロリエッタが奥からそう言ってきた。
レーベンはドキッと肩を跳ねさせた。
渋々、一枚入れなかった銀貨を袋に入れて元に戻す。
(なんで聞こえてんだよ……)
レーベンは心の中でブツブツとぼやいた。
「ったく、手癖の悪いがきだねぇ。その指、切っちまうよ」
「なんで全部分かるんだよー」
「あたしの五感と第六感は敏感なんだよ」