LOVE❤SONG
【次の日-通学路:美咲】
早朝、無事家に帰り、
あたしは、いつもより早く家を出た。
なんとなく、1人になりたかったから。
丘のすぐ横まで来て立ち止まった。
丘の上の木の枝に、1つだけ桜の花が咲いていた。
美咲『もう、春だなぁ。』
そんなことを言いながら歩き始めると突然頭痛がして、またその場に倒れた。
美咲『痛った~!』
膝からは血が滲んで、砂がついた。
美咲『あー、もう!』
思わず足元にあった石ころを投げた。その石は転がって後ろから来た人の足に当たった。
美咲『あ、すみません。』
顔をあげると亮が息を切らして立っていた。
美咲『どうしたの?』
亮『どうしたのじゃねぇだろ。足怪我してっからチャリ乗せてやろうと思って。』
美咲『で、チャリは?』
亮『パンクしてた。』
その言葉に笑ってしまった。
美咲『乗せようとしたらパンクしてたの?あはは!だっさ!』
お腹を抱えながら笑った。
亮『うっせーな。予想外だったんだよ、ずっと使ってなかったし。』
そういうとあたしの前へ行きしゃがみこんだ。
美咲『今度は何してんの?』
亮は何も言わなかった。ただ、黙ってしゃがみこんでいた。
あたしは亮の背中に身を預けると、亮は立ち上がり歩き出した。
亮『結構傷ついた。』
美咲『え?何が?』
亮『病気の事、隠されて。』
美咲『あたしの事?』
亮『他に誰が居んだよ。』
美咲『あたしも隠されてるの。お母さん、何も言ってこない。でも、自分でなんとなくわかるの。』
亮『美咲も知らなかったの?』
美咲『...何か異変は感じてたけどね。』
それからしばらく沈黙が続いた。
......
美咲『...怖いの。』
亮『......』
美咲『病気を知るのも、その後も。』
亮『......』
美咲『何かが、壊れそうで。何か、失いそうで。もし、自分の病気知ったら、今までのようにできるか、不安で......』
想像すると涙が出てしまった。
亮『例え、何か壊れて、何か失っても、俺は美咲の傍に居る。不安で怖くて、全て投げたしたくなっても、俺だけは絶対にどこにも行かない。やれることは何でもする。俺が美咲の事守ってやる。』
亮の言葉が頼もしく、亮の背中に顔を埋めた。
それからあたしたちは何も言わずに学校へと向かった。
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