LOVE❤SONG

#3

【学校:美咲】
病気の宣告を受けてから、今まで見ていた景色が変わった気がした、ううん、変わった。

学校へ行く通学路、クラス、家、丘の上の桜の木。見慣れたはずの景色が全部、暗く感じた。これからこの景色が消えていく。窓の外を見ながら、頭の中でそう考えていた。

愛佳『......咲！......美咲！』
呼ばれている事に気がついて振り返る。
美咲『え？何？』
愛佳『何じゃないでしょ！何回呼んだと思ってんの？』
美咲『ごめん。』
愛佳『麗香たちが呼んでる。』
教室のドアの前に麗香たちが立っていた。
あたしは麗香たちの方へ行く。
美咲『何か用？』
麗香はついてくる様にだけ言った。



【裏校:美咲】
あたしは裏校に連れてこられた。
麗香たちが集めた女子たちが鋭い目付きであたしを見てきた。
美咲『こんなところに連れてきて何の用？』
麗香『あなた、神谷君と幼なじみだからって私達の目の前でおんぶなんてして、嫌み？』
美咲『あたし、足怪我して動けなかったからしてもらっただけだけど、何か悪い？』
麗香『どうだか！動けない振りして、してもらいたかったんでょ！？憎たらしい女ね！』
美咲『......くだらな』
麗香『なんですって？』
美咲『好きな男に女がたかればその女を潰そうとするその考え方がくだらないって言ったの！』
麗香『！！なっ！』
美咲『好きなら好きだと伝えればいいでしょ？こんな大勢味方にしたところで、あなたの好きな人が振り向いてくれんの？』
麗香『うるさい！！』
麗香はあたしの胸ぐらを掴み、思いっきり頬を叩いた。あたしはその場で倒れる。
麗香『嫌いなのよ！私より上にたつあなたが！私より楽しそうにするあなたが！』
美咲『......だから？』
麗香『だから消えて‼私の目の前から！』
そう言ってまたあたしの頬を叩いた。
麗香『私は...』
麗香は制服の腕をまくり、リスカの跡を見せた。
麗香『好きな人が振り向いてくれなければ、こうして自分を傷つけた！そして、綺麗になって見返して来た！もし、神谷君が振り向いてくれなければ死ぬ覚悟くらいあるのよ！！！てか、振られるくらいなら死にたい！！』
その言葉を聞いてあたしは立ち上がり、麗香の頬に全力で拳を撃ち込んだ。麗香は悲鳴をあげながら倒れた。
美咲『死にたいなんてあんたが口にすんな！！』

心の底からのあたしの叫びだった。

そう、麗香はあたしよりずっと健康で、未来があって、自由があるのに。
あたしは......

涙が勝手に溢れだしたあたしは、叫ぶように麗香に言った。
美咲『どうして！......死にたいやつが死ねなくて、まだ生きていたいと願う人が死んでいかなくちゃいけないの......？どうしてよ！！』
泣きじゃくるあたしを見て女子たちは、"もう行こ"などと言って帰ってしまった。
麗香『......あなた、どこか悪いの？』
美咲『......悪くない......』
あたしは鞄を持って麗香を後にした。