LOVE❤SONG
【学校:亮】
今日は、美咲がいない。
<美咲ちゃん、病気なんですって。>
母さんが言っていた美咲の秘密。
大和『どした?元気ねーなー。あ、いつもか。』
桜井大和(さくらいやまと)クラスのお調子者。
亮『ん、あぁ。』
大和『美咲来てないからへこんでんだろ(笑)』
亮『別に。』
へこんでる、違う。へこんでるんじゃない。美咲に隠し事されたのが嫌だっただけなんだ。

【病院:美咲】
目を開けるとあたしは病院のベッドの上で寝ていた。隣にはお母さんが座っていた。
美咲『お母さん、?』
美咲の母『美咲?良かった!体大丈夫?』
美咲『うん、あたし、』
お母さんは何かを隠すように言った。
美咲の母『...美咲の足の怪我、酷かったんですって。でももう平気って主治医の先生が言ってたから、安心ね。』
美咲『そんなに酷かったの?』
お母さんはそうよなんて言っていたけど、あたしにはそう見えなかった。
だってあたしが怪我した足には湿布のようなものに、テープで止められていただけだったから。

【数時間前-診察室:美咲の母】

美咲の主治医、"中井先生"がMRIを私たちに見せ、話を始めた。
中井先生『今回の検査で美咲さんの病気についてわかったことがあります。』
美咲の母『重い病気じゃないですよね?』
中井先生『美咲さんの病気は多発性硬化症というものでした。』
美咲の母『多発性硬化症、?』
中井先生『はい。多発性硬化症とは主に脳、脊髄、視神経に腫瘍かできいて、いろいろな症状を起こす病気です。』
美咲の父『いろいろな症状とは、?』
中井先生『まず、言葉を上手く話せなくなる言語障害。失明。歩行障害。手などにも痺れが出て動かなくなることもあります』
美咲の母『治るんですよね?完治しますよね?』
中井先生『...はっきり申し上げますと、美咲さんの場合、再発と寛解の繰り返しの可能性が高いです。この前の診断の時もお話ししたように、この病気は難病です。手術をして治るというわけではありません。むしろ、もう時間がないとお考えになった方がよろしいかと。』
先生の話が終わると私は涙をし、夫は立ち上がり中井先生の肩を掴むと泣きながら必死で訴えた。
美咲の父『美咲が死ぬのを待っていろというのか!?手の施しようがないっていうのか!?』
美咲の母『あなた、』
夫を見て私も胸が苦しくなっていた。
中井先生『最善を尽くします。』
私も夫もそれからしばらく泣き続けていた。

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