恋人

再会


「そうじゃないよ。高校に入学する前から僕たちは会ってるよ」

君島くんが真面目な顔をしてそんなことを言ったので、愛栄も思い出そうとするが、思い出せない。

いつどこで会ったと言うのだろう。

「え、どこであたしたち会ったことある?」

うーん、と愛栄が悩み始めると君島くんも何かを考えているようだった。

君島くんと言えば、秀才でイケメンで人気者で…….そんな人と知り合うことあたし今まであったっけ?
ほかに君島くんと言えば…、とそこで考えて出して気付いた。

今まさにその特長にいるじゃないか。
そう、君島くんと言えば。
バドミントン。

そこまで考えついた瞬間愛栄はヒッと声を出しになった。
バドミントンで知り合ったとすれば、あのことを知っているのかもしれない。
そんな恐ろしいこと考えたくないけど…

「ねぇ、まさか…」

愛栄が相手に何かまずいことを喋られる前にこちらから話を振ってしまおうと、口を開こうとすると、


「ぶはっ、もうだめ。思い出したらまた笑い止まらなくなりそう」

あははと笑った君島くん。
その笑顔を見て、一瞬キュンとする愛栄だったがすぐに我にかえる。

「…ってちょっと待って!なんでいきなり思い出し笑いしてるの?」

「何って…」

笑いながらこちらを見つめるからまたキュンとしてしまった。

ってそうじゃなくて、とまた自分を元に戻す。

なにを思い出して笑っているのかを突き止めたい…
と思うのに、知らぬが仏のような気がして怖くて聞けない。
けれど、やっと平穏な生活ができているのに、この生活がなくなるのだけは避けたい。
バラされる前に牽制しとかなきゃ!

「ねぇ!もしかして、思い出し笑してるのって…」

「なんか間違いだったみたい」

勢いつけて聞こうとした愛栄を意外な言葉が黙らせる。

「え?」

「会ったことあるっていうの勘違いだったみたいだ。ごめんね」
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