病むほど君に依存してる
 私も瑠珂くんの動きに合わせてゆっくりと後退りをするけど、トンと壁にぶつかり、それ以上は後退りが出来ないことを知る。

 瑠珂くんはすぐそこまで迫って来ていて、とてもじゃないけど、逃げることは不可能……っぽいです。

 ついには私の目の前まで歩み寄ってきた瑠珂くんは、両腕を私に向かって伸ばしてきて……恐怖のあまりにギュッと目をつむった瞬間――。


 ……えっ?


 ――自分の身体が、今までに感じたことのないようなあたたかさに包まれたことに気付く。

 それにビックリして目を開けると……瑠珂くんは、私の身体を抱きしめていた。きつく、かたく……まるで、離れないように。

 抱きしめられているから、瑠珂くんの表情が分からないことに対して不安に思うけれど……私を抱きしめるその腕は力強いわりに優しくて。

 どう反応したらいいのか、分からなくなる。

 と、ととととりあえず……!私はどうして瑠珂くんに抱きしめられているのでしょうかっ?!

 そんな疑問が頭の中をグルグルと掻き混ぜていく最中、少し距離を離した瑠珂くんの右手が、指が、私の唇をなぞるように触れた。

 そんな右手の向こうに見える瑠珂くんの顔は無表情で……やっぱり、怖い。
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