病むほど君に依存してる
 不思議だね。瑠珂くんが必死に私を捜していたかのように見えた、だなんて……本当に不思議だね。

 でも、瑠珂くんの冷酷な瞳に以前までの色が、ぬくもりが、優しさが、戻っていくような気がした。

 一瞬だけ驚いたように目を見開かせた瑠珂くんは、何かを確認するかのようにまた私の名前を呼ぶ。


「瑞、季……?」

「うん。私、瑞季だよ」

「っ瑞季……!」


 そして、ガバッと抱きしめられた。

 また突然の行動に驚いたけれど、さっきまでと違って落ち着いていられるのは……瑠珂くんが私の知っている瑠珂くんだから、かな?


「どうしたの?何かつらいことでもあった?」


 よろしくない噂といい、さっきの冷酷な瞳の瑠珂くんといい……何かあったんだろうと思った私は、その原因を尋ねてみた。

 だけど……。


「死にそう」

「えっ?!」

「瑞季不足で……死にそう」

「なっ……何よ、それ」


 返ってきた言葉は、よく分からないものだった。……うーん、私不足ってつまりはどういうことなんだか。


「もう……」


 不意に、瑠珂くんが口を開く。未だ抱きしめられているままなので、耳元で瑠珂くんの声が発された。


「俺の傍から、いなくならないでくれ」


 その声は、言葉は……とても切なげで、聴いていて胸が締め付けられる思いだった。
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