病むほど君に依存してる
 私と孝くんが、中学生を卒業するまでの間の瑠珂くんの姿を、今でも鮮明に覚えている。


「どう?似合う?髪の色」

「うん!すっごく似合ってるよ!」

「ほんと?はは、瑞季に褒められるのなら、染めて正解だな」


 2人もいるお兄ちゃんの影響なのか、髪は金色に染めていたけど、中身は以前までと同じで優しかった瑠珂くん。

 そんな瑠珂くんが、先生に暴力を振るった……?全然、想像が出来ない。

 本当の本当に暴力を振るったのだとしたら、それはきっと何か理由があったんだよ。そうだよ、そうとしか考えられない。

 例えば、たまたま振った手が先生に当たっちゃったとか、実は先生がダメな人で、誰かを守るためにやむを得なく……とか。

 だから、瑠珂くん自身に悪気はなかったんだよ。きっと、そうだよ。きっと……。


「なるほどねぇ、そういうこと」


 よっぽど暗い顔をしていたのか、3年生の神代桃花(かみしろ とうか)先輩に心配された私は、思い切って瑠珂くんのことについて相談してみた。

 神代先輩は男勝りでサバサバとしている性格の人で、こんななんの取り柄もない私にでさえよくしてくれるいい先輩。

 やっぱり、いくら瑠珂くんにこっそりと会いに行くと決意しても、孝くんにバレない確証はないし……仕方ないよね。
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