いたずらヒーロー。
 放課後になると、図書室でレシピ本を借りて、近くのスーパーで材料を揃えてから、わたしの家で生チョコを作ることに決めた。


 レシピ本を開いて、ゆうちゃんがそのまま読む。


「チョコを刻んで、生クリームを温める!」

「ふぁい!」


 わたしはスーパーの袋から生クリームを取り出し、鍋に全て入れてしまった。


「あ、待って待って!100ccだよ!」

「えっ、うそ!これってどれくらい入ってるの?」


 ……そんなこんなで、あわあわとしながらもなんとか作り上げた生チョコは、十分に食べられるレベルには出来上がった。


「「完成!!」」


 ゆうちゃんと、ひとつだけ特別かわいい袋に入れて、ニヤニヤとおかしな笑みを浮かべた顔を見合わせる。


「ドキドキだねー、明日。」

「はるなはいつ渡すの?」

「ずっと考えてたんだけど、算数教室の時、出席番号順で隣の席だから、そこでこっそり渡しちゃおうかなって。」

「えー、いいなー!あたしどうしようかな……。」


 言いながら、ゆうちゃんはうんうん唸って、考えるような素振りを見せた。


 この日は、明日のことばかり考えてしまって、眠れない夜を過ごした。
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