いたずらヒーロー。
 翌朝今日も家の前でゆうちゃんを待っていると、あくびをしながら彼女は現れた。


 それがうつってわたしもつい、あくびをこぼす。


 ゆうちゃんは手提げ袋を掲げながら言った。


「ちゃんと持ってきた?」

「もちろん!」


 わたしも同じように返す。


 今日、算数の授業があってよかったなあ。


 なんて、考えながら、わたしは胸の高鳴りがおさまらなかった。



「はるなー?行くよー?」

「待って、教科書が……。」


 とうとう算数の時間がやってきて、算数教室に移動しなければならなかったのだけれど、今度は教科書がなくなった。


 わたしは夜寝る前と朝、いつもちゃんと持ち物の確認をしている。


 それなのに……。


 痺れを切らしたゆうちゃんが、教室の中へ戻ってきた。


「今日浮かれポンチだったから、忘れちゃったんじゃない?」

「……そうかも。」


 結局教科書のことは諦めて、ノートとチョコレートだけ持って、わたしは教室を後にした。
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