いたずらヒーロー。
タイトル未編集
 立花さん。


 君は、本当にばかだね。


 僕がなくなっていた君の上靴を渡すと、すぐに笑って、それを受け取る。


 ばかだねそれ、僕が隠したのに。


 水着もエプロンも体操服も、ピアニカのホースも君のお気に入りのペンも。


 一時なくなっていた算数の教科書だって、君が探している最中、ずっと僕の机の中にあったのに。


 なんでこんなこと、するのかって?


 困った顔が、見たいから。


 ……でもそんなの知られたら、君は離れていくだろうから、僕は正義のヒーローで居なくちゃならない。


 そこで思い付いたのが、自作自演。


 立花さんには嫌われずに、彼女の困った顔が見られる。


 寧ろ彼女は僕に感謝をして、バレンタインのチョコレートまでくれた。


 他の人にも渡していたけれど、一目でわかる。


 僕のは特別だってこと。



「あれ?また算数の教科書が……。」


 ……立花さん。


 君は、本当にばかだね。


 でも大丈夫。


「僕が見せてあげるよ。」


 僕は表面上、君のヒーローだから。
< 8 / 8 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:10

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

恋愛パラドクス。

総文字数/1

恋愛(純愛)1ページ

表紙を見る
ことり公園。

総文字数/51,708

恋愛(純愛)90ページ

表紙を見る
俺、共犯者と秘密共有中。

総文字数/39,411

恋愛(キケン・ダーク)70ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop