夏の町
明らかな異変と、それにも関わらず穏やかすぎる窓の外の景色、そしていつの間にか乗客が数人しかいなくなっていた事実にじわじわと恐怖感が湧き上がってくる。
電車にポツポツとしか人が乗っていないなんて、まるで私の田舎のようではないか。
この街はそんなに田舎ではなかったはずだ。いつだって、数えるのに苦労する程度には人が乗っていた。
電車の中は空調が効いているにも関わらず、私の体は外の景色につられるようにじんわりと汗ばんできていた。