雨降りの日の彼女

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スーツ姿だったから､今から会社に戻るのかもしれない｡
友人と立ち上げた会社が波に乗ってるらしく､夜もいないのはしょっちゅうで｡
久々に会ったなあなんて思ってたら､学ランのポケットで受信を知らせるバイブ音｡
差出人は､浩介｡


「…｡」


そうだよ家族愛に浸ってる場合じゃなかったよ｡
ちょっとテンションと思考回路がズレ始めていることに気づいた｡
一つため息を吐き､階段を昇って自分の部屋のドアを開ける｡
机の上にカバンをおき､ベッドにもたれるようにして座った｡
二つ折りの携帯電話を開いて受信ボックスの浩介からの新着メールを見ると､


『茜ー！明日は雨ですよー！』


というかなりどうでもいい内容だったので､『あほか｡』とだけ打って送信した｡
そして彼の名前を見ると､嬉しそうな彼女の顔が浮かぶわけで｡




「…どうして泣くの｡」




呟く｡
呟いて､視界がぼやけてきたので､携帯をパタンと閉じた｡

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