雨降りの日の彼女
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「浩介ひっつくな。熱い。」


「うわ、茜ってばつれないなー。」


「うるさいばか。」


俺はそう言いながら、文句を言う浩介を引き剥がす。
夏が近づくごとに熱気と湿気で暑いし粘つくしで最悪だ。


「てかテストさ、物理とか科学とか本気で無理なんですけど。」


「俺文系だからないもんね。」


「僕どっちも得意だから平気だもんねー。」


「なんだよお前ら!岡本、俺のためにヤマはれ!」


「やだよ。僕は茜の数学のヤマはりで手一杯。」


「で、俺は浩介の古典のヤマはりで手一杯。」


「あ゙ーっ!」


頭を抱えて絶叫する田村を見て、二人で爆笑した。


「言うのが遅いんだよ。もっと早く言えばやってやったのに。」


「俺も英語ならヤマはってやったのに。」


「俺の高校生活のメインは部活なんだよ!」


「じゃあ頑張ってボール追っかけてなよ。今年は気が向いたら応援行ってあげるから。」


浩介がにこりと笑ってそういうと、田村はガクリと肩をおとした。

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