雨降りの日の彼女

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「茜？何してんだよ｡」


「今行くって｡急かすな｡」


浩介に答え､ちらりと彼女を見る｡

ほら､やっぱり｡
彼女の目には､浩介しか映ってない｡



彼女と浩介は接点がないはずだから､きっと彼女の一目惚れだろう｡

別に俺には関係ない｡
他人の恋愛なんて興味ない｡


なのに､この苛立ちはなんだ｡
どうして浩介を見つめる彼女に苛立ちを感じるんだ｡


というか､まず根本的におかしい｡
どうして彼女の瞳は浩介を映す？
どうして話したこともないあいつを｡


「…あ……」


どうして苛立つかなんて､答えは簡単だ｡
彼女の瞳には､俺が映っていない｡
ただ､興味をもった対象なだけの彼女の瞳に､映ってみたかったんだ､俺は｡



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