雨降りの日の彼女
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彼女は携帯を持ったまま浩介を見ている。
…よく考えると、こうして二人を同時に視界に入れるのは初めてだ。
いつもは片方が視界にいる状態だったから。


「…」


ずっとあいつを見つめる彼女。
彼女の存在に気づかないあいつ。
やっぱり、


「…俺は映らないんだな」


そう思った瞬間、目の前が真っ暗になった。
真っ白でなく、真っ黒。
まるで、化学変化のような、言葉では上手く表せないけど。

気づいた時には、携帯を構えた彼女の肩をたたいていた。


「お嬢さん、隠し撮りは犯罪じゃない?」


そう言って、にっこり笑ってみせた。






映らないなら映ればいい。
さぁ、幕は上がったよ。


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