雨降りの日の彼女
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「…」


チラリと彼女を見る。
可愛らしいというのが、彼女を目の前にしての第一印象だ。
髪はくせっ毛で、後ろ髪は肩につくくらいの長さ。
茶色い髪に似た、色素の薄い瞳。
ただ単純に、綺麗より可愛いが似合う。

そんなことを考えながら、頬杖をついて彼女を見ていると、彼女と目が合った。
瞬間、小さく跳ねる心臓。
すると、彼女は身を乗り出して、こちらに近づいてきた。
何。
顔と顔の距離が近すぎて、目をそらしたいのにそらせない。
心臓が爆発するんじゃないかって程、跳ねて息苦しい。
本当に、何。


「………あの、あの人のお友達、ですよね?」


「…は?」


彼女の口から発せられた言葉があまりに不確信に満ちていて、またも予想外だったために、つい聞き返してしまった。



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