雨降りの日の彼女
.




「改めて」と、彼女は姿勢を正し、俺と向かい合った。


「急にごめんね、驚いたよね。
あたし、高村由宇(タカムラ ユウ)。香桜女子の3年。」


「…ああ、北沢茜(キタザワ アカネ)、東高3年。」


彼女が名乗ったので、俺も名乗る。と、


「あかね…?」


案の定聞き返された。
一般的に、茜と言う名は女の名前と認識されている。
だから、


「女みたいだろ?でも俺の名前なの。」


こんな反応は慣れてる、いつものことだ。
すると彼女は頭を振って、


「そんなことないよ、いい名前。」


と、笑って言った。


.
< 25 / 125 >

この作品をシェア

pagetop