雨降りの日の彼女
.



そんなストレートに言われたのは初めてで、すこし目を見開いてしまった。


「コンプレックスとか、そういうのは誰にでもあるよ。
あたしはこのくせっ毛がコンプレックス。」


そう言って自分の髪を人差し指に巻き付けて見せる。
色素の薄い、茶色い髪。
痛んだようには見えないから、多分自毛。


「綺麗じゃん、その色。」


「ありがと。」


素直な彼女を、眩しく感じた。
くせっ毛なあの髪に触れたらきっと柔らかいんだろうなとか、少し不純な気持ちに駆られた。


.
< 26 / 125 >

この作品をシェア

pagetop