雨降りの日の彼女
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「じ、実はね、あたしずっと女子校だったから、男の子とこうやって話すのも初めてで…緊張してるのですよ。」


「や、その割りにはかなり積極的に行動してるから」


彼女の言葉に呆れながら、俺はツッコミをいれた。
未だ真っ赤な彼女の頬に冷えたコーラを当てると、彼女はそれを受け取り「ありがと」と言った。


「赤くなるのは自覚してたのになぁ…だからあの人にも近づかなかったのに。」


ため息混じりにそう言う彼女を、片肘をついて眺める。

どうして彼女の瞳に映っているのはあいつなんだろう。
どうして俺じゃなくてあいつなんだろう。

ふとそう思うと、浩介のために一生懸命になり、真っ赤になり、「好き」と言う彼女に、少しだけいらついた。
何故かは知らない。でもイライラする。


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