雨降りの日の彼女
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見た目真っ赤なそれは、裏にノートの行幅がBサイズであること、60ページあることなどが記されている。
要するに、中身は普通のノートである。


「何これ」


再度同じセリフで彼に問う。
確かについ最近、5月18日は俺の誕生日だった。
だが、何故誕生日プレゼントにノート一冊なのか。
けちったとしても、これはけちりすぎだろう。


「僕さ、お前の作文とか好きなんだよね、文集のやつとか。
お前、国語の成績いいしさ。
で、いろいろ考えてたら、いっそのことお前に物語書かせようと思ったわけ。
てことで書け、僕のために。」


「…」


要するに、俺の誕生日を祝う気はさらさらないということか。

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