雨降りの日の彼女
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「別にね、茜が男の子が好きでもいいんだ。
それはその人の勝手だし、それで接し方が変わるわけでもないし。」


「…」


フォローしようとしてるのかはわからないが、彼女は握り拳をつくって俺に声をかけてくる。
それに対して俺は、怒りとかを通り越して呆れていた。

あの言葉は、別に間違ってはいない。
何故なら、親友というポジションは俺のだから。
だが、どうやら彼女はそれを恋愛感情と捉えたらしい。


「よって、あたしと茜はライバルで仲間!
負けないからっ!!」


「…まあいいか。」


人差し指を立てて俺に宣言する彼女は、とにかく楽しそうで。
なんだか面倒くさくなった俺は、弁解もせずに放っておくことにした。



彼女の中に俺の居場所はできた。
今はそれだけでいい。

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