雨降りの日の彼女
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俺はその問いに、「…別にだめじゃないけど………」としか答えられなかった。
彼女はこれが初恋で、彼女の中で恋愛の縛りというものはないらしい。
それでいいのかと思わないでもないが、面倒なので、ほかっておいた。
何よりまず、俺は浩介が好きというわけではないのだから。


「浩介の誕生日ねぇ………」


そういえば、浩介から誕生日にノートを貰ったな、と、あの茜色のノートが頭によぎった。
どこにやったっけ。


「…茜?聞いてる?」


「え、……ああ、聞いてる聞いてる。
浩介の誕生日だろ?11月17日。」


上の空だった俺は、慌てて話した。
それを聞いた彼女は「11月……だいぶ先だなぁ…」と、ちょっとがっかりした様子でぼやいた。


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