雨降りの日の彼女
.




怖がっているのだ、男を。


前に、「男の子と話すの初めて」とか言っていたのを思い出す。
ああ、だから震えているのかと、淡々と思った。



「由宇。」


「…なに。」


「俺、男。」


「…………茜は平気。」


「……そう。」


背中にすり寄る彼女に、小さくそれだけ返した。


ねぇ、それは、信頼の表れ?
それとも、…男と見られていないだけ?


「………由宇、帰ろ。」


俺は彼女を立ち上がらせながら言った。


.
< 46 / 125 >

この作品をシェア

pagetop