雨降りの日の彼女
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「いらない。返す。」


「返品不可。」


「…。」


手で阻止する浩介を見て、俺はため息をついた。
まぁいい。授業で使ってしまおう。


「で、なんで赤なの。俺のイメージって赤?」


片手でノートを持ち、眺めながら聞くと、


「赤じゃない。茜色だよ」


「…。」


浩介が楽しそうに笑ってそう言うものだから、俺は「あ、そう」とだけ答えた。


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