雨降りの日の彼女
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「佳乃ちゃん、かっこいいからモテるでしょ?
いろいろ聞かせてよ。今の彼女をどうやって落としたかとか。」


俺は椅子を軋ませながら尋ねる。
すると先生は長いため息をついた。


「俺の話聞いても役に立たないと思うけど。」


だが、応えてはくれるらしい。


「別れようって言われたし」


「え」


「部屋のドア蹴破って入ってくるし」


「……」


「でも決め手は押しと引きのタイミングかな」


「…佳乃ちゃん、結構すげぇ恋愛してんね」


俺は断片的に聞いたそれに、思ったままの言葉を言った。
すごいというか、凄まじいが合うかも。
先生は、俺のその言葉に「まあね」と苦笑し、「でも」と続ける。


「それでもほしかったから、俺必死だったんだよね」


そう言って笑う先生を、俺はポカンと見つめた。


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