雨降りの日の彼女
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「……で、どうしたの」


「ん?」


「電話。何か用事かなって」


「んーん、ただ何となく会いたいなって思っただけ。」


「…………………あ、そう。」


そう答えてアイスコーヒーに手を伸ばす彼女に、俺は小さくため息を吐いた。

恋愛初心者なのはわかるが、俺が男で女友達でないことを少しは自覚してほしい。

直後、店員が「お待たせしました」とか言ってコーヒーを持ってきたが、俺はそれに返事をしなかった。


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