雨降りの日の彼女
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素直な反応を示す彼女を見て、そんな反応の出来る彼女と、そんなふうに思われる浩介が羨ましいと思った。


「そんなに嬉しいもんなんだ?」


コーヒーに右手を伸ばしながら、なんとなく尋ねる。と、


「当たり前でしょう!」


と、彼女はテーブルを勢いよく叩いて立ち上がりながら、大声で言った。
テーブルの上にあった彼女のアイスコーヒーの中身が揺れたが、ギリギリで溢れることはなかった。


「好きな人と同じなのよ?共通点があるのは嬉しいことじゃない!」


「ちょ、待て。わかったから座れ。目立つから」


俺は慌てて彼女の肩を掴んで座らせる。
今の彼女の言動から、周りの客に変な目で見られてないといいのだが…。


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