雨降りの日の彼女
「げ。雨…」
SHRを終え、玄関でスニーカーを履いて空を見ると、灰色の空が視界いっぱいに入った。
「あちゃー傘持ってきてないんだよなぁ。
茜、入れて。」
「やだよ。」
俺は後ろから現れた浩介の言葉を一蹴した。
「なんでだよ、僕ら親友でしょ?」
「男同士で相合い傘とかやだ」
「…気にするんだそういうの。」
「…」
その言葉を聞いて、俺は黙ったままもう一度空を見上げ、黒い折り畳み傘を広げた。
「だめならだめでいいけどさ。勝手に入るし。」
そう言って、浩介は無理矢理傘の中に入ってきた。
「だからやめろって。…うわっ、本降り。
泣いてるみたいだし……。」
かなり大粒の雨に、俺はため息混じりに言う。と、
「……」
浩介が凝視してきた。
「…なんだよ」
「やっぱ物語書けよ。」
「やだ。」
再度言われた言葉に、俺は再度首を横に振った。
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