雨降りの日の彼女
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「いきなり立ち上がるなよ、ビビるし痛いだろ。」


「さっさと声かけないお前が悪いだろ。」


俺は浩介の顔面と接触した頭をさすりながら反論する。
絶対こぶになる。嫌だ。


「で、茜は何してんの?」


隣にしゃがみ、浩介は聞いてきた。


「人待ってんの。お前は?」


「僕は用事済んだから帰るんだよ。
人待ちかよー、一緒に帰れないじゃん。」


「明日晴れたら一緒に帰ってやるよ。」


「なんだよそれ。」


俺の言葉に疑問符を飛ばしながら、浩介は首を傾げる。
俺は「さあ?」と適当に流しておいた。


「まあいっか。もうすぐ電車来るし行くわ。」


「おう。」


「あ、茜」


「んー?」


「ちゃんと書いてる?小説。」


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