雨降りの日の彼女
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『茜色だよ。』



前に同じことを言われた。
あのノートをもらった時に。


「そうか」


唇だけ動かして、笑った。

俺の大事な人たちは、「居場所はここだよ」とでもいうかのように、俺を呼ぶ。
それはきっと、俺の思い込みとかなんだろうけど。

俺を気にしてくれるということが、例え鉛色の世界にいても、光になるんだ。




(決して言葉にはしないけど)

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