雨降りの日の彼女
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「なぁ」


「え?」


いきなり声をかけられて、俺は振り返った。
そこにはいかにも頭が良さそうな男子。
身長は俺と変わらないぐらい。
じーっと観察するように、下からのぞき込むように見てくるから、俺は後退った。
何。


「すっげー綺麗だよな、お前」


「…」


人の良さそうな笑顔を浮かべ、彼は続ける。


「僕、岡本浩介。名前教えでっ」


彼が言い終わる前に、俺は彼の腹に蹴りを一発入れていた。
足を戻すと、彼の学ランには綺麗に俺の靴跡が残っていた。


「げほっ」


「俺ね、」


むせながらしゃがみこむ彼に目線を合わせるため、俺もしゃがむ。
彼がこちらを向いたので、にっこり笑ってみせる。


「綺麗とか可愛いとか言われるの大っ嫌いなんだよね。」


そう言って、ぺちんと軽く彼の頬を叩いた。

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