雨降りの日の彼女
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「北沢」


昼休み、いつものように浩介と過ごしていると、廊下から声をかけられた。
そちらに首だけ動かすと、


「田村」


隣のクラスの、体のでかい友人がいた。
田村とはこの高校で唯一の同じ中学出身で、別に最初から仲がよかったわけではないが、やはり同じ匂いがするのか、自然と話をするようになった。


「何?」


彼のもとまでフラフラと歩き、尋ねる。
片手に昼食のパンを持ったままだが、田村は細かいことは気にしない性格だから、俺も遠慮せずに気にしない。


「この前の聞こうかと」


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