雨降りの日の彼女
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「なんでわかるの?
俺、由宇のこと何もわかんないのに。」


なんだか不公平な気がして拗ねてみる。と、


『なんで?浩介くん好きなの知ってるじゃない。』


と不思議そうに言う。
俺は電話越しでもわかるようにため息をついた。


『何よ。他に何か知りたいなら聞けばいいじゃない。』


「……や、いい。自分で見つけるから。」


そう言って、俺は「じゃあ明日、17時に。」と確認して、耳に携帯をあてたまま、彼女が終話ボタンを押すのを待った。
ツーツーという音を聞いて、俺も終話ボタンを押す。




彼女のことは知りたい。
でも、教えてもらうんじゃなくて。

自分で見つけるよ。
君さえ気づいていない君のこと。
もし見つけられたら、その君は俺にちょうだい。

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