雨降りの日の彼女
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「16時38分…と。」


駅のエントランスへ続く階段の前で、携帯電話を開いて時間を確認。
待ち合わせ時間の約30分前。
待つのは嫌いだから、相手を待たせるのも嫌い。
だからいつも早めに到着するようにする。
今日は早すぎるけど。


「んー…。」


周りを見ると帰宅するサラリーマンと学生で、駅前はごたごたしている。
それに加えて客寄せやティッシュ配りの人もいて、少し煩わしく感じた。
階段付近で壁に持たれ、空を仰ぐと、微かに赤く染まり始めていた。

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