雨降りの日の彼女
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触れても触れてない、そんな距離に俺はいる。


「あと一週間くらい…かな。」


「何が?」


「梅雨明けするのが。」


カフェの窓際の席。
大きな窓から空を見上げ、鉛色の空を仰ぐ。
前方を通り過ぎる人々は、そんな俺には気づかない。
なんてそっけなく、冷たい世界なんだろう。


「じゃあ遊ぶ回数減るね。」


「遊ぶってほど遊んでないけどな。」


目の前にいる彼女は、レモンティーの中でストローを回しながら片肘をついてそう言うので、俺はコーラに手を伸ばしながらつっこみを入れた。
彼女は紅茶もコーヒーも飲めるらしいが、紅茶のほうが好きらしい。

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