赤いエスプレッソをのせて
(……塞いでやろうか)

と思った。

小さく開いている唇を、私の唇で。

息が苦しくなって目が覚めた時、彼はどんな反応を見せるだろうか。

驚くか、喜ぶか……悲しむことはないだろうし、いやがられることもないと思う。

だから、いたずらしたくなった。

そしていっそのこと、千代のところへ送り届けてやろうかとも。

――窒息してしまえ。

そして、それをあっという間に実行した私は――

後悔し、

そしてまた、

沈溺した。
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