赤いエスプレッソをのせて
にわかに香る男のたくましさとううものに、彼に知られないよう、密か陶酔する。

私がここにある。

それがわかる。

わかって、嬉しい。

その嬉しさを与えてくれる彼が、そして、愛しいんだ。

こんな私が正しいか、歪んでいるかなんてわからない……でもそう、彼を想う。

「ありがとう」

「どういたしまして」

その言葉には、嘘偽りや後ろめたさは、なかった。
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