赤いエスプレッソをのせて
「今日はどのみち雨だし、ゆっくり寝てなさいよ。動いたりしたら承知しないんだから」

うん、と返事をしたショーは、私の男というよりも、まるで弟のようだった。

まあそれもそうか、私は彼のお姉さんの生まれ変わり、なんだから……。

「じゃあ、おかゆ作っといたから、食べたくなったら自分であっためて食べてちょうだい。できるだけサッサと帰ってくるから、待ってんのよ」

うん、とまた同じ返事をした彼の、一筋汗が伝っている頬にキスをひとつ送って、家を出た。

今日は久方振りに、大学へ行くつもりなんだ。

今まで行ってなかったんだから今さらと思ったが、ショーがどうしても行ったほうがいいと言うんだ。

昨日、そのことでさんざんお説教のようなものを受けた。

で、そんな風にお説教に熱を入れていたせいか、自分の中でとんでもない熱が出てしまった、と。

今日も大学を休もうかと思ったけど、昨日自分が勧めたんだからと、彼は私を強引に送るのだ。

仕方なく、自分がしてあげられる最大限のことだけをして、出てきたというわけよ。
< 137 / 183 >

この作品をシェア

pagetop