赤いエスプレッソをのせて
入学式以来くぐっていなかった校門を抜け、キャンパスへ入る。
結構人がごった返しているけど、知ってる人なんてひとりもいなかった。
これが大学生活初頭の出来事なら、見知らない人同士でいろんな話ができるんだろう。
どこの高校からきたの? とか。
でももうすぐ夏期休講の時期なんだ。
これくらいになると大抵それぞれがそれぞれのグループを持っていて、新参ものなんかに興味は向かない。
久しぶりにきた大学で、久しぶりの孤独感を味わうことになるとは、ちょっと思ってもみなかった。
自販機でいつも通り、オレンジジュースを買う。
千代のことはどうでもいいはずなのに、こればっかりは――もしかすると私は特別好きな飲み物がないのかもしれないけど――どうしてか無意識のうちに実行してしまう。
頭の隅で、彼女を考えてる証拠とでもいうんだろうか。
千代を完璧に見捨てきれないとでもいうのかしら。
だとしたら、ふふっ、私もとんだお姉ちゃんだわね。
結構人がごった返しているけど、知ってる人なんてひとりもいなかった。
これが大学生活初頭の出来事なら、見知らない人同士でいろんな話ができるんだろう。
どこの高校からきたの? とか。
でももうすぐ夏期休講の時期なんだ。
これくらいになると大抵それぞれがそれぞれのグループを持っていて、新参ものなんかに興味は向かない。
久しぶりにきた大学で、久しぶりの孤独感を味わうことになるとは、ちょっと思ってもみなかった。
自販機でいつも通り、オレンジジュースを買う。
千代のことはどうでもいいはずなのに、こればっかりは――もしかすると私は特別好きな飲み物がないのかもしれないけど――どうしてか無意識のうちに実行してしまう。
頭の隅で、彼女を考えてる証拠とでもいうんだろうか。
千代を完璧に見捨てきれないとでもいうのかしら。
だとしたら、ふふっ、私もとんだお姉ちゃんだわね。