赤いエスプレッソをのせて
 、、 、、
(もう、いや)

経った今座ったばかりなのに、立ち上がった。

半円クレーターみたいにへこんだ教室、黒板の前の教授がなにを言っているのか、もう聞こえない。

またこっちを見ている目があるのを感じるけど、いちいち確認するだけの気力が湧いてこない。ドアのほうへ、足を進める。

「――待てっ、おい!」

最後に怒鳴れたような気がしたけど、構わず、ドアを開けて廊下へと。

ここは、私の居場所じゃない。
< 143 / 183 >

この作品をシェア

pagetop