赤いエスプレッソをのせて
雨で濡れた髪が、頬や首に、お気にのブラウスが肌にベタベタとくっつく。

気持ち悪くて仕方ない上に、アパートまでまだ半分も来ていなかった。

(ダメだ、くじけそう)

思った時、ショーが頭に浮かんで、もう次の瞬間には、ケータイを手にしていた。

バカなことはよしなさいよ、ショーは今、すごい熱が――

でも今すぐ来てほしい――

九度も熱があんのよ、無理はさせられ――

でも今すぐ彼に触れたい――

ましてやこの雨なのよ、余計にこじらせたら――

でも今すぐに会いたい!

葛藤の末に私は、彼の電話番号を押して、耳にケータイを押し付けていた。

お願い早く出て……

千代はイヤなのよ……

明海がいいから……明海でいいから、そばにいさせて……

そばに来て……来て……

守って……

、、、 、、、、、、 、、
守って、ちょうだいよ、私を!
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